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和歌山地方裁判所 昭和55年(わ)122号 判決

本籍

和歌山県日高郡南部川村大字西本庄一三二五番地

住居

右同所

梅干加工販売業

生田捨松

大正五年八月二〇日生

検察官五十嵐義治出席

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金七〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、和歌山県日高郡南部川村大字西本庄一三二五番地に居住し、生田捨松商店の名称で、梅干加工販売業を営んでいたものであるが、不正の行為によつて所得税を免れようと企て、

第一  昭和五一年分の総所得金額は三、〇四四万六、七七七円、これに対する所得税額は一、一八七万四、九〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上、架空の仕入を計上するほか、売上の一部を除外するなどの不正手段により、その所得金額のうち二、四一二万八、四二六円を秘匿した上、昭和五二年三月一四日所轄御坊税務署において同署長に対し、総所得金額が六三一万八、三五一円、これに対する所得税額が八二万三、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、よつて右年分の正規の所得税額との差額一、一〇五万〇三〇〇円をほ脱し

第二  昭和五二年分の総所得金額は四、六一八万五、九五二円、これに対する所得税額は二、一三五万三、八〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正手段により、その所得金額のうち三、九八二万五、〇二一円を秘匿した上、昭和五三年三月一五日所轄御坊税務署において同署長に対し、総所得金額が六三六万〇、九三一円、これに対する所得税額が七八万九、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、よつて右年分の正規の所得税額との差額二、〇五六万三、〇〇〇円をほ脱し

第三  昭和五三年分の総所得金額は三、八六四万八、五二七円、これに対する所得税額は一、六三八万六〇〇円であるにもかかわらず、前同様の不正手段により、その所得金額のうち二、九七一万一、八九八円を秘匿した上、昭和五四年三月一五日所轄御坊税務署において同署長に対し、総所得金額が八九三万六、六二九円、これに対する所得税額が一四一万七、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、よつて右年分の正規の所得税額との差額一、四九六万一、九〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書九通及び検察官に対する供述調書

一  生田ミスヱの大蔵事務官に対する質問てん末書七通及び検察官に対する供述調書

一  生田信行の大蔵事務官に対する質問てん末書二通及び検察官に対する供述調書

一  生田修代の大蔵事務官に対する質問てん末書二通及び検察官に対する供述調書

一  谷昭三、横尾林蔵(二通)、坂本ツギノ(二通)、杉本臣司、志村亘美(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  赤木省三、坂本共弘、杉本臣司、池添喜代繁の各供述書

一  生田信行、岡田博之(四通)、日裏貴晴、柏木久三郎、小竹敏夫(四通)、栄浪岩男、志村亘美、新田正二の各確認書

一  国税査察官作成の調査報告書一四通

一  大蔵事務官作成の所得税確定申告書謄本三通

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書三通

(法令の適用)

判示所為 いずれも所得税法二三八条一項(懲役刑と罰金刑を併科)

併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項

労役場留置 同法一八条

懲役刑の執行猶予 同法二五条一項

訴訟費用の負担 刑事訴訟法一八一条一項本文

(裁判官 塩田武夫)

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